「お父さんを思い出そう。このままじゃ、大好きなお父さんに顔向けできないよ」



郁麻のキレイな瞳が私を捉えていた。



彼は動揺しているのかもしれない。だって、まだ手が痙攣しているのだから。









「今の話、訊いていたよ」




何も言えずに沈黙が続いたときに、郁麻の病室の扉が開いた。




そこには、キレイな女の人が立っていた。







「母さん」





キレイな人だなぁと思ったが、郁麻のお母さんだった。