あの日失った想い

「あなたはお父さんのことを心のそこから信頼していた。


あなたがバスケを始めた理由……ハルもあるのかもしれない。




でもね、1番の理由は日本代表の選手であるお父さんに憧れていたから」



郁麻は顔を伏せていた。表情は見えない。




信じきれないのだろう。




「お父さんが病死し、それを受け入れなかったあなたは荒れたそうよ。



あなたのお母さんはそれを見るに耐えれなかった。



だから息子の記憶から最愛の人を消すことを選んだ。




悲しい決断だったと思うよ。




今生きている、あなたを救うために」




他人事みたいに言ってごめんね……