あの日失った想い

「は?」



病室は静寂に囲まれた。私は大きく深呼吸をして彼に微笑んだ。





「郁麻、今から話すことはあなたにあった本当の話だよ。



今から3年前、私たちが中3だった頃。



あなたのお父さんはまだ生きていたんだよ」





郁麻は何か言いたそうな顔をしていたが、何も言わずに訊いてくれていた。





「あなたのお父さんは不治の病にかかり、もうこの世界にはいない」




「……」