あの日失った想い

あたしはお父さんに勝つっていつも必死に思っていた郁ちゃんに惹かれていた。



一途に父親の背中を追いかける彼が好きだった。




中1になった頃でも、ずっと好きなの。




だって、ずっと一緒だったから。あたしには郁ちゃんだけだったから。



あたしの両親はね、仕事の都合のせいで、朝帰りが多かった。



だからあたしはその間、ずっと郁ちゃんの家に遊びに行っていたの。


あまりあたしに構ってくれないママとパパより、郁ちゃん家の方が温かかった。



だって、郁ちゃんのお父さんとお母さんはあたしを本当の娘のように接してくれていたもの。