あの日失った想い

「郁麻、正直に言って…由佳里と何かあったの?」

屋上で、仁美に訊かれた。彼女の目は揺れていた。


ハルも隣で黙っていた。


「知らねぇんだよ」


あいつが何に対して怒っているのか、全く検討がつかない。


「知らねぇってことはないだろ?…ほら、修学旅行でなんかあったとか」

「はぁ?修学旅行でって………あ」


いや、さすがにこれじゃないよなー。


「何かあったの?」


仁美が心配そうに訊いてくる。そりゃー心配か。親友だもんな。


「いや…たいしたことじゃないけど、花恋に会った」