あの日失った想い

郁麻は嫌がってなかった。嫌だった彼女の手を振り払うはずだ。




花恋さんはきっと郁麻のことが好きだ。




…じゃあ、2人は両想い………なの?
















あれ?今、私の方見た………?





たしかに、花恋さんは彼越しに私を見つめていた。





そして、見せつけるかのように私に黒い笑みを零して、郁麻の胸に顔を埋めていた。
















花恋さんは、私に気づいていたんだ!






私が迷子になることも、全部……






仕組んだの?





さっきよりも、私の心に渦が溜まっていく。









これ以上、2人を見続けていたら、私が私でなくなりそうだったので、その場から静かに逃げ出した。