あの日失った想い

私の角度からは郁麻は後ろを向いていて、表情をうかがうことは出来なかった。





「郁ちゃんはあたしのことが嫌いなの!?」




今まで訊いたことのない花恋さんの苦しい叫び声。


「嫌いなわけ…ねぇだろう。俺がガキの頃、いつも傍にいて、くれたのはお前だった」






郁麻の低い、クールな声。






どくんどくん…






心臓が妙な音をたてる。





ずっと前とは違う感覚何これ……