あの日失った想い

郁麻ー花恋さん、どこっ!?



私は、やっとの思いでもといた、あのお土産を買った場所に戻っていた。



はー、もうダメ…走れないよー



本当に何やってんのよ、私は…



あの容姿端麗な彼も見つけれないなんて…




もしかして、私…もう会えないのかなー



そんなことはあるまいと空を仰いだ。







雲一つない、きれいな空だった。




もう、季節は秋だ。頬をくすぐる風が冷たい。





目を瞑ると、色々な人の、物の音が聴こえてくる。







「ねぇ、今めっちゃ美男美女のカップル見つけたよ」




「そうそう、お似合いだったー」





美男美女……?




私の脳裏には、あの2人しか映らなかった。





間違えない……!




もう走れないと思っていた私の足は、すっかりと動いていた。