あの日失った想い

「花咲さん、見て!清水寺だよ」




タクシーから降りて即座に学級委員の彼女が叫ぶ。




写真とかテレビでは見たことがあるが、実際に見るとすごく大きかった。




「わーすごい!ねぇ、私行きたいとこあるから、自由行動しよ!」




と、彼女はひとりでに決めて、同じ班の男の子を連れて走っていった。





えー、ちょっとどうするのよー!




チラッと郁麻を見る。そしたら、彼も私を見ていた。視線が絡む。





「一緒に行かねぇ?」




「え、私でいいの?」




彼は何も言わずに頷き、歩き出した。

私なんかで本当によいのだろうか…



そんなことを考えながら、郁麻の隣を歩いた。