ろろちゃん視点


窓を開けるとまだまだ寒い風が部屋を満たす

肺の中の古い空気を出して、新しい澄んだ空気を取り入れる

こうして今日が始まった

何気ない毎日だけど、少し特別な日が

スマホの電源をつけると、夜に見きれなかったたくさんのお祝いのメッセージ

「みんな、律儀だなぁ」

なんて呟きながらメッセージに目を通す

着替えて同室の子を起こそうとベッドを覗くもすでにその子の姿は消えていた


「あれ?おかしいな、いつもまだ寝てるはずなんだけど……」

首をかしげて、部屋をぐるりと見廻す

それでもやっぱり姿は見えなくて


___ドタドタドタドタ


廊下を走る音


あーあー、ユージェルさんに怒られちゃうよ~

その音はどんどん大きくなってピタリと私の部屋の前で止まった


「おーはよー!ろろ!!!お、もう着替えてるね、じゃあさっそくゴー!!」


足音の犯人はエマちゃんだった、彼女は私の腕をつかみぐんぐんと進んでいく


「え、エマちゃん!?待って待って!!!早いよ!?」

静止の声に耳も止めずただ、まっすぐに突き進んでいく


「中庭までノンストップだよー!」


更に加速し、もう考える余裕もなくなっていく







中庭の扉の前に来るとようやく足を止めた彼女


「んふふっ、どーぞ!今日の主人公!!!」


ガチャっと大きなドアを開けた先にいたのは……


仲間達18人だった

隣に立ち、私に笑顔を向ける彼女を含め19人


「ユリンくんに、ノアちゃん、マリーちゃんも!」


「ふふっ、今日はその名前じゃないですよ」


ユリンくんがそう言って微笑んだ


「そーそー!今日は撮影でもないし、クールキャラは一旦休憩っ」


なるほど……!


「のぞみちゃん!」


「Mi$tyさん!」


「正解っ!」


今日はお仕事じゃなく、プライベートでの集まりってことか……!!!

すっかり毎日が染み付いて、役名で呼んじゃったや


「おんき、じゃなくて、こつぶさん!」

「ぴーんぽんっ!」


私と一緒にみんなを支えるスタッフの方々も役職名じゃなくて名前で呼びあってる


「たまには、こういう皆もありだよね?」


ヴィタリー役のはなちゃんが側に来て私の顔をのぞきこんできた


「うんっ」


「えへへっよかった!」


ぱっと笑うとたたっとまたみんなの所へ戻っていった


「ではいくよー!」


かんと、、、りおちゃんがそう言うとみんな同じタイミングでニヤッとした


「せーのっ!」


「「「くしろろちゃん誕生日おめでとぉぉぉ!!!」」」


その言葉とともに全力疾走で私に突進してくるみんな


当然受け止めきれるわけもなく、皆の真ん中でもみくちゃにされていた


でも、全然嫌なんかじゃなくて……


「ありがとうございますっ!!!」

思い出に残る誕生日です!