退院までは2週間しかかからなかった
。ひどい事故だったのに、予定の半分で退院できることはあり得ないって言われた。俺はずっと天井を見つめていると自分の脳の中を見ている気がした。いつ目を開けたってそこは真っ白で、近いのに鉛筆でなにか書くことも許されない。
高藤はあれから毎日3時頃やってくる。まぁ、ほとんど話はしない。来て、よう。と笑顔のない挨拶をかわし、高藤は何かを紙に書く。最初は見当もつかなかったその紙の正体もだんだんわかってくるようになってきた。きっと、施設の決まりなんだろう。体調がすぐれないやつがいれば面倒を見てる方の責任になる。つまり、高藤が毎日来るのは、かわいそうだからではなく、仕事だからって感じなんだ。
「よかったな。退院できて。」
「あぁ。」
「なんだよ。うれしくねぇのかよ。つれねぇやつだな。」
正直、うれしくないわけじゃない。けど、これからどうすればいいかが分からない。最近まで見慣れてたであろう景色もすべて異国の地だ。
「さっさと乗れ。」
目の前にはオンボロな軽トラックが止まっていた。
「これに?」
「あぁ。悪かったなリムジンじゃなくて。」
高藤はがたいがいいだけに少しでも眉間にしわがよると人一倍怖く見えた。
「そうはいってねぇよ。」
車が走り出した瞬間から沈黙が続く。その空間に息苦しくなってきた。どうも俺は沈黙というものが嫌いらしい。
「あ、あのさ。俺の事好きな奴ってどんなやつなの?」
「あ?あぁ、金子理沙(かねこりさ)。お前と同い年だ。同い年はお前しかいねぇから親近感わいたんだろ。理沙はもう5歳から俺らが見てる。娘みてぇなもんだな。」
そこでふと気づく。俺は俺のことを島津健介ってことと、17歳だってことくらいしか知らない。
「なぁ、俺はどんなやつだった?」
「あー。そーだな。お前は内気なやつとは真反対の人間だ。」
?
「グレてたんだよ。」
グレてた?この俺が?2週間前に初めて鏡の前に立って俺が俺に対面した時は髪は黒くて、顔も外傷があるのを除いて、とてもグレる様には見えなかった。ただ、背だけは高かった。病室を出るにもかがまなければいけないほどだった。
「どんな感じだった?」
「どんな感じって…うーん。そうだな、バイクとか乗ってるイメージのとは違くて、一匹狼みたいな感じだな。」
うーん…情報が少なすぎる。
サングラスをしていかにもみたいな顔をしてハンドルを握っている高藤を横目に見ながら俺は考えた。
なんで俺は自殺しようとしたんだろう。
顔は中の上くらい、背だって高いし、髪型だってセットすればマシになるだろう。ということは、悩みは外見じゃない。
そんなことを考えていると、山奥についた。
「さっさと降りろ。やることが山ほどあるんだ。」
目の前には洋館ほどまではないが、でかい洋式の建物があった。中に入ると、くすんだ外見からは想像もつかないくらい綺麗だった。
「どうだ。悪くないだろ?」
「あぁ…」
と生返事を返す。その時の俺の目線の先にいたのは一人の女だった。
「なぁ、あの子誰?」
「あぁ、あれが金子理沙だよ。」
え?あれが?あんな可愛いのが俺のことを好きだって?
「あぁ。それ以外に何があるんだ?」
そういった高藤の言葉はもはや俺の耳には届いていなかった。
なんであんなに可愛い子がいながら自殺する気になったんだ俺は。自殺する前の自分が皮肉じみたヤツだったと思い知る。
「あ!大翔さん!…健ちゃん!?」
金子理沙と呼ばれた天使は棒立ちしている俺と高藤を見て駆け寄ってくる。
「どこ行ってたの!また喧嘩?」
「あぁ、そーだよ。このバカこのあいだの輩とやりあってて俺が止めたんだ。」
金子理沙の圧に押されてなにも言えない俺に変わって高遠が答える。
「2週間も入院したんでしょ!?」
「あぁ。まぁな。」
「あ!機嫌悪いね健ちゃん」
は?なんでそうなるんだ?
「だって、私わかるもん。健ちゃんがテキトーな時は機嫌悪いって」
へぇー…
「おい。こっちに来い」
奥の部屋から高遠に手招きされて初めて高遠に感謝した。
「な?強烈だろ?笑」
高遠はいかにも困った俺を馬鹿にする顔でニヤニヤしてる。
「先に言ってよ。あーゆー子だってこと…」
「忘れてたんだよ笑わりーな笑」
ぜってぇ思ってねーな。
。ひどい事故だったのに、予定の半分で退院できることはあり得ないって言われた。俺はずっと天井を見つめていると自分の脳の中を見ている気がした。いつ目を開けたってそこは真っ白で、近いのに鉛筆でなにか書くことも許されない。
高藤はあれから毎日3時頃やってくる。まぁ、ほとんど話はしない。来て、よう。と笑顔のない挨拶をかわし、高藤は何かを紙に書く。最初は見当もつかなかったその紙の正体もだんだんわかってくるようになってきた。きっと、施設の決まりなんだろう。体調がすぐれないやつがいれば面倒を見てる方の責任になる。つまり、高藤が毎日来るのは、かわいそうだからではなく、仕事だからって感じなんだ。
「よかったな。退院できて。」
「あぁ。」
「なんだよ。うれしくねぇのかよ。つれねぇやつだな。」
正直、うれしくないわけじゃない。けど、これからどうすればいいかが分からない。最近まで見慣れてたであろう景色もすべて異国の地だ。
「さっさと乗れ。」
目の前にはオンボロな軽トラックが止まっていた。
「これに?」
「あぁ。悪かったなリムジンじゃなくて。」
高藤はがたいがいいだけに少しでも眉間にしわがよると人一倍怖く見えた。
「そうはいってねぇよ。」
車が走り出した瞬間から沈黙が続く。その空間に息苦しくなってきた。どうも俺は沈黙というものが嫌いらしい。
「あ、あのさ。俺の事好きな奴ってどんなやつなの?」
「あ?あぁ、金子理沙(かねこりさ)。お前と同い年だ。同い年はお前しかいねぇから親近感わいたんだろ。理沙はもう5歳から俺らが見てる。娘みてぇなもんだな。」
そこでふと気づく。俺は俺のことを島津健介ってことと、17歳だってことくらいしか知らない。
「なぁ、俺はどんなやつだった?」
「あー。そーだな。お前は内気なやつとは真反対の人間だ。」
?
「グレてたんだよ。」
グレてた?この俺が?2週間前に初めて鏡の前に立って俺が俺に対面した時は髪は黒くて、顔も外傷があるのを除いて、とてもグレる様には見えなかった。ただ、背だけは高かった。病室を出るにもかがまなければいけないほどだった。
「どんな感じだった?」
「どんな感じって…うーん。そうだな、バイクとか乗ってるイメージのとは違くて、一匹狼みたいな感じだな。」
うーん…情報が少なすぎる。
サングラスをしていかにもみたいな顔をしてハンドルを握っている高藤を横目に見ながら俺は考えた。
なんで俺は自殺しようとしたんだろう。
顔は中の上くらい、背だって高いし、髪型だってセットすればマシになるだろう。ということは、悩みは外見じゃない。
そんなことを考えていると、山奥についた。
「さっさと降りろ。やることが山ほどあるんだ。」
目の前には洋館ほどまではないが、でかい洋式の建物があった。中に入ると、くすんだ外見からは想像もつかないくらい綺麗だった。
「どうだ。悪くないだろ?」
「あぁ…」
と生返事を返す。その時の俺の目線の先にいたのは一人の女だった。
「なぁ、あの子誰?」
「あぁ、あれが金子理沙だよ。」
え?あれが?あんな可愛いのが俺のことを好きだって?
「あぁ。それ以外に何があるんだ?」
そういった高藤の言葉はもはや俺の耳には届いていなかった。
なんであんなに可愛い子がいながら自殺する気になったんだ俺は。自殺する前の自分が皮肉じみたヤツだったと思い知る。
「あ!大翔さん!…健ちゃん!?」
金子理沙と呼ばれた天使は棒立ちしている俺と高藤を見て駆け寄ってくる。
「どこ行ってたの!また喧嘩?」
「あぁ、そーだよ。このバカこのあいだの輩とやりあってて俺が止めたんだ。」
金子理沙の圧に押されてなにも言えない俺に変わって高遠が答える。
「2週間も入院したんでしょ!?」
「あぁ。まぁな。」
「あ!機嫌悪いね健ちゃん」
は?なんでそうなるんだ?
「だって、私わかるもん。健ちゃんがテキトーな時は機嫌悪いって」
へぇー…
「おい。こっちに来い」
奥の部屋から高遠に手招きされて初めて高遠に感謝した。
「な?強烈だろ?笑」
高遠はいかにも困った俺を馬鹿にする顔でニヤニヤしてる。
「先に言ってよ。あーゆー子だってこと…」
「忘れてたんだよ笑わりーな笑」
ぜってぇ思ってねーな。

