目の前が一瞬光って、強い衝撃を受けた後、視界がスローモーションのように傾き始め、肩の下にはアスファルトを感じた。全身がマヒしたように動かなくて、もうどうでもよくて、目を閉じる。
耳をつんざくような救急車のサイレンで僕はまた目を開けた。
さっきまで静かだった周りの音も今はどたばたと騒がしく動き回る人の足音がアスファルトを通じて聞こえてくる。
「大丈夫か!?どこが痛い!?目をつぶっちゃだめだ!!もう少し頑張るんだ!」
誰だ?見たことない。あぁそうか。医者か。じゃぁ、もう安心だ。そう思った瞬間、麻酔をかけられたみたいに眠くなって再び目を閉じた。
「病院着きましたよー。わかりますかぁ?」
「少し動かしますよー。」
「翔太!!」
「か、か、かぁさん」
「翔太！」
「お母さん離れて。ここからは私たちに任せてください。」
あぁ。ここ病院か。俺はこれからどうなるんだろう。
ていうか、なんでこんなことになった？
考え始めたらキリがない…
頭の中に最新のビデオ機器でも入っていたらいつでも巻き戻して見れるのに…
そうでないなら天使か悪魔かが出てきて戻してあげるって言い出してそれについていければいっそ楽だ。
そんなことを考えているうちにまた眠くなった。