「すごい!みてみて!満開だよ!」
国崎 彩(アヤ)は車に乗っていたお母さんとお父さんに言った。
「あや、静かにしてちょうだい。入学式からこんなんでどうするのよ、」
「いいじゃないか。あや、中学生生活は楽しまなきゃダメだよ。」
お母さんとお父さんが真反対のことを言ってる
「分かってる!うち今日から中学生だもん!」
私は1番に車から降りるとチラチラと周りを見始める。
(まだ来てないのかな。)
私が目で追っていた人物、頭に浮かんでいた人物とは春休み中に、別れた元彼のことである。その時のショックが大きすぎて、もうろくに恋なんてできなくなってしまっていた。
「中学では好きな人なんて作らないんだから!」
私は小声でそう言うとガッツポーズをした。すると後ろから
ドンッ
と肩が当たった。
「あ、ごめんなさい!大丈夫ですか」
私はすぐに振り向いて倒れたであろうその人に近づいた。
「いってぇ〜。あ、すんません。大丈夫っす」
先輩だろうか、顔立ちは整っているし、目も透き通った薄い茶色だった。
「ホントにごめんなさい、」
私が謝っていると、
「あやー!見つけたー!」
後ろからものすごく大きな声で自分の名前を呼ばれた。まぁ予想はついている
「まな、ちょっとまってて」
相田 優(マナ)、小学校の親友で毎日登下校を一緒にしていた。
「あ、じゃあ俺はこれで、」
と言って、歩き去る男子を止めて
「あ、その!改めて謝罪などしたいのでクラスを教えてもらいたいんですけど、」
なれない敬語で美男の男子は
「俺、まだ分かんないんだよね。クラス分け見てなくて。」
私は
「そうですか。ではお名前だけでも……」
ん?クラス分け?
「え!?もしかして1年生!?ですか!?」
私は動揺を隠せず大声で聞いた。
「うん、あ、俺、水川月翔(ツキト)」
いきなりの自己紹介で、慌てた私は
「あ、国崎彩です!」
と、大声で自己紹介をしてしまった。
これが悪魔の始まりなんて思いもしなかった。