いつもみたいに否定できなかったのは……


三澤くんが真剣な眼差しで
あたしを見ていたから


「………っ」


あたしは言葉を詰まらせる。


「俺と付き合えば敦を忘れられると思うよ?」


敦を忘れられる?


忘れたい。でもそんなに
うまくいくものなの?


敦のあたしへの扱いは周りの人も感じてしまうほど酷いものだった。


それでも嫌いになれなかったのは
彼が好きだから。


こんなに好きなのに
忘れられるものなの?


あたしは半信半疑のまま三澤くんを見つめていた