家に着き、ドアに手をかけたとき妙な胸のざわめきを感じた。


とりあえず入ろうと思いドアをあける。


「ただいま〜」


「あ、綾人!」


母が血の気の引いた顔で飛んできた。


今度ははっきり嫌な予感がする。


「綾人!大丈夫⁉︎」


「何が?」


「駅の広場に車が突っ込んだってニュースが今流れてきて、ちょうどあんたの帰る頃だと思って…」


「駅に⁉︎いつ?」


「30分くらい前だって」


綾人が千華と別れてすぐだ。




心臓が早鐘を打つ。



荷物を玄関先に投げ捨て家を飛び出す。



「ちょっと、綾人!どこいくの⁉︎」



母の叫び声を背に全速力で走り出す。


千華に電話をかけるが繋がらない。