走ってちょっとした大通りにでてみるが、今日はいつもより遅くなってしまったのか、通りに同じ制服を着た人は誰もいない

急いで坂を下り、歩道橋の階段を駆け下りる

そこにはいつものように単語帳に目を落とすナコがいる

小中高と同じ学校に通っている友達だが、天然すぎていまいち未だにつかめないところがあったりする


「おはよぉ」


私に気づいたナコが顔を上げて挨拶する


「おっはよっ」


と挨拶を返して、さほど教科書が入っていないはずの重い鞄を地面に下ろす

下ろすと同時に、信号でバスが止まっている事に気がついた

お気に入りのブックカバーで覆った文庫本を取り出し、私はバスに乗り込む