すらっとしていて肉のない細い綺麗な指。

爪はきちんと切ってあって自分の伸ばしすぎて派手な爪とは大違いだ。

あ、ペンだこがある。

「あれ、違う?」

反応しない私を不思議に思ったのか今度は顔を覗き込ませてきた。

野暮ったい黒髪が揺れて少しだけ目が見える。

思っていたより長いまつ毛。

それに縁取られた瞳に見つめられた時、私の心臓は早鐘の様に打ち出した。

「……いや、合ってる、多分」

「良かった」

そう一言呟いて指を下ろした彼に私はどきどきして仕方なかった。