「有馬さんは、食べた?」
会話が続かないことが気まずく感じたのか今度はそっちから聞いてきてくれた。
「うん、食べたよ……てかそんな堅苦しくなくていいよ、普通に那月って呼んで」
「え、分かった那月さん」
まだ型苦しいけど名字よりはいいかな。
会話が続かない……。
本当は昨日のことを聞こうと思ってたんだけどなんだか聞く気になれなかった。
何か共通の話題ないのかな。
「この前の、」
そんなこと思っていた矢先に彼は食べる手を止めて口を開いた。
その声は小さく、教室だったら聞こえないかもしれなかったけどここでなら聞こえた。
「この前の理科の実験のレポート、先生が褒めてたよ
この班だけが正確に計測できてましたって……」
私が彼を初めて意識した日だ。
