が。 「岸島くん、稽古をどうかね」 土方は誘った。 「それがしは居合、しかもお手合わせができるほどの腕ではございませぬ」 岸島は辞したが、 「いや、腕前を見たいのだ」 と言われては、断る理由も失われた。 「では」 というと岸島は大小を刀掛にかけ、羽織を脱いで股立ちを取ってから、襷を手早く結んだ。 「では一本」 岸島は木刀を腰に差したまま一礼し、腰を落とし木刀に手を掛けた姿で、間合いを少し広げ気味に構えた。