島屋に着くと、

「岸島さま、お待ちしておりました」

と中へ通された。

「例の大丸へ支払う隊服の件で参った」

と言うと番頭は、

「さて…手前どもが伺っている件とは異なりますが」

と不思議なことを言い出した。

「番頭どの、それがしは近藤局長から預かって…」

「あ、そちらでございましたか」

というと番頭は、

「近藤先生もまた、嘘が下手なお方にございますなぁ」

とくすくす笑いだした。