そこで。

遊廓に疎かった岸島は、名主の周囲を調べようとまず遊廓の店主のあたりから調べ始めた。

が。

そこは遊廓である。

「いちいち名主さんのことなんぞ、頭に留め置かれしまへん」

とのみで、尻尾もつかめない。