岸島は小判の包みを見た。 確かに墨で「会津中将御預新撰組公用印」と打たれた印が捺されてある。 「この包みを名主さまはさるお方から渡されたらしいのですが、斯様な公金、しかも五十両ともなりますと、これは勘定方にお改めいただいたほうがよろしいかと存じまして」 島屋の番頭が知らせるのも無理はない。