話が少し前後する。 将軍となっていた一橋刑部卿は二条城に諸侯の名代を集め、 「まつりごとを朝廷にお返し申し上げる」 という、いわゆる大政奉還を表明した。 奇しくも坂本暗殺の時期である。 守護職にあった、新撰組の直属の上司である会津侯も、その場に控えていた。 屯所に一報がもたらされたのは当日の夜である。 公用方の筆頭である広沢富次郎と、添役の小野権之丞によって伝えられた。