「しかしなぁ、僕は岸島さんみたいな隊士には、変に戦で討ち死にしてもらいたくないな」 沖田は言った。 「まぁ僕は労咳持ちでいつ死ぬか分からないけど、岸島さんにはそろばんの腕もあるし、何より子供に好かれる」 そういう人は簡単には斬り死にされてほしくない、というのが沖田の偽らざる本音であったらしい。 「お言葉ありがたく存じまするが、勝ち負け生き死には武家のならいにて」 と、会釈をするのが沖田への、岸島の精一杯の謝意であった。