「しかしなぁ、僕は岸島さんみたいな隊士には、変に戦で討ち死にしてもらいたくないな」
沖田は言った。
「まぁ僕は労咳持ちでいつ死ぬか分からないけど、岸島さんにはそろばんの腕もあるし、何より子供に好かれる」
そういう人は簡単には斬り死にされてほしくない、というのが沖田の偽らざる本音であったらしい。
「お言葉ありがたく存じまするが、勝ち負け生き死には武家のならいにて」
と、会釈をするのが沖田への、岸島の精一杯の謝意であった。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…