だから言うわけではないが、と原田は、 「おれたちは何かの役に立ちたい一心でここまで来た。だがその志に近づけば近づくほど、何かを手放さねばならなくなる」 岸島くん、と原田は、 「きみは出来るなら人を斬るな。出来るなら、そろばんだけで生きて行けるようにしておけ」 「原田どのはいかがなされるご所存で?」 「おれは…刀を振るしか能がないから、それで生きてゆくよりほかはない」 おれには出来なんだことを、きみはやれ──原田はまるで遺言のようなことを言った。