酒井は検分役を仰せつかると、 「ならば、ご承知ながら役儀により検分をいたす」 「では早速」 と指で繰ってみせた。 「願いましては…」 酒井が思い付くまま数字を言う。 岸島がはじく。 記録がとられてゆく。 パチパチ、と小気味の良い音がする。 「これはなかなか出来ますな」 記録をちらりと見るなり、酒井兵庫は言った。