東本願寺から塩小路、高倉通へ折れて枳殼邸の辺りを回ったあと六条院から高瀬川を少し沿って、正面通から橋へ出た。

「そろそろ赤座隊が来るはずだが」

しかし。

四半刻ばかり待ったが来ない。

「もうすぐ刻限です。屯所に戻りましょう」

阿部に促されるまま岸島隊と阿部隊は西本願寺屯所に戻ってきた。

「見回り大儀である」

声をかけてきたのは、この時期に伊東甲子太郎と共に入隊してきたばかりの毛内有之助という隊士である。

岸島と阿部は黙礼した。

「して、赤座くんは?」

「…まだ、戻っておりませぬか?」

岸島は胸騒ぎがした。