しばらくして。 勘定方の詰所へ岸島が来ると、酒井兵庫の姿がない。 「河合どの、酒井どのは…」 「酒井さんなら、病で除隊となられた」 沖田の言う通りであったらしい。 「われわれ勘定方はいつも人が足りないのに、ついに二人になってしまった」 河合は人手を足してもらいたいらしいが、何しろ武家はそろばんや金子を不浄と思う向きが強い。 「そういう面で酒井さんは貴重な方であったが、病とあってはなぁ」 こればかりは河合にもどうしようもないことであったらしい。