【完】『そろばん隊士』幕末編


それからしばらく過ぎて。

「仕官が見つからぬゆえ、京へ戻ろうかと」

岸島はそう言うと、手塚にそれまでの謝意を述べて、東海道を西に向かった。

手塚が餞別にと古手ながら一式の旅装を渡してくれたので、正規の武士の旅装である。

懐中には原田の小柄と、あとから小野が調べてくれた原田の命日と戒名が書かれた文があった。

「まずはおまさどのとおしげどのにお伝えせねば」

これが済んだあとは、そろばんを教えながら京で静かに暮らす腹積もりで、六郷の渡しを越え、まずは川崎の宿場へと歩を進めるのであった。





【明治編へつづく】