翌朝。 岸島は雨上がりの三百坂を出て、上野の広小路まで歩いてみた。 広小路のあちこちには楯の代わりに使われたらしき戸板や、ひっくり返ったままの天水桶、折れ曲がった鋳物の刀に首のない武士の亡骸まで、そのままに放置されている。 そのまま歩くと、 「岸島くんではないか」 声をかける者がある。 振り向くと、小野権之丞であった。 「君は彰義隊ではなかったのか」 「どうやら、原田どのはいたらしいが」 「あぁ、そうだ」 小野は懐から包みを取り出した。