河合から言上を聞いた土方は、 「確かにそこは岸島くんの申し分には一理ある」 と言った。 土方も江戸の試衛館で近藤勇に師事する前は日本橋の商家に奉公しており、散薬の行商もしていた時期があったからか、金を稼ぐことがどれほどの労苦かを悉知していた。 それだけに、 「われらは京の水に馴染んで、武家であろうとすることに無用に囚われていたのやも知れぬな」 と、その場で人を遣って、件の平隊士たちに二分の返還を命じた。