無口な彼の愛し方

ポンポンッと、優しく頭を撫でられる。

誰?

涙でグチャグチャな顔で、手の主を見る。


「・・・ぁ、りむらくん」

「お疲れ」


その言葉に、涙は更に溢れてくる。

そして、しばらくして充が尋ねた。


「俺らが勝ったら、また泣くの?」


それは、うちの男子が負けたらってことだろう。

あたし、泣くのかな?


「負けようか」

「え?」

「樋口さんが泣くなら、負けるよ」


充の言葉の意味が、あたしにはよくわからなかった。


「笑ってて欲しい」


さっきから、充は何言っているのだろう。


「俺、樋口さんの笑ってる顔が好きだ。だから、樋口さんには笑ってて欲しい」


充の言葉に、不思議と涙が止まる。