無口な彼の愛し方

「大丈夫?なら、止めよう」

「え」

「だって、有村くん嫌いなんでしょ?無理しない方が良いよ。帰ろう?」


あたしがUターンしようとした時、充に腕を掴まれた。


「有村くん?」

「一緒に」

「え?」

「見たい」


耳を真っ赤にして言う充に、胸の奥がキュンッとした。


「なら有村くんが嫌になったら、帰ろう?有村くんも楽しい方が、あたしも楽しいから。ね?」

「ん」


それからちょっと見て、結局あたしたちは公園を後にした。

特に行き先も決めず、2人並んで歩く。

それだけのことなのに、楽しかった。

気付けば日が落ちていて、そろそろ帰らなければいけない時間。

だけどまだ帰りたくなくて、中々言い出せない。