無口な彼の愛し方

「ごめんなさい、待たせて」

「いや」


そう言い、歩き出す充の隣に並んで歩く。

何か話さなきゃと思うのに、中々言葉が出て来てくれない。

そんなことをしていると、気付けば公園について居た。

満開の桜を見て、自然と笑みが零れる。


「綺麗」


頭上に咲く、満開の桜につい見惚れてしまう。


「綺麗ですね」

「・・・あぁ」


充も桜に視線をやるが、大して興味がなさそうだ。

充は、どんなことに興味があるのだろう。


「有村くんって、何が好き?」

「バスケ」


あぁ、そうだよね。

バスケが好きだから、バスケ部なんだろうし。


「じゃ、何が嫌い?」

「人混み」


うん?

人のこと誘っておいて、人混み嫌いなの?