誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。




それから色んな事をした。



宣言通りオムそばを食べた。



私はそれだけでお腹いっぱいになったけど、3人はその他にたこ焼きやら焼き鳥、焼きそばなど食べていた。



お化け屋敷に入った時はみんな驚かなくて係の子が逆に可哀想になったり。



コスプレして写真を撮ってもらったり。



やっぱり楽は女装で、桜悠は医者、来都は特攻服、そして私は猫耳とよく分からない設定だったけれど。



でも、すごく楽しかった。



初めて学祭というものに参加して。



クラスメイトとワイワイ準備して。



来都と桜悠と楽、3人と色んな事して。



そしてこんなに幸せな思い出までもらえた。



裏側に存在するwhite castleとしてではなく、純粋に表側で生きられている剣城 真琴として。



それが何より嬉しかった。



ここに来れて良かったと思った。



この思い出を……忘れたくないと思った。










「……楽しかったか?」



顔を上げると、来都が私を見つめていた。



そんなの言うまでもない。



「……うん。とても。」



「……なら、良かった。」



そう言って微笑む来都に、何故か胸が熱くなった。



その背中にどうしても伝えたくなった。










「……みんなだから。」



小さく呟いた声は来都に届いたみたいで。



「……俺は、みんなとだったから楽しかったんだ。
誰でもいいわけじゃない。3人だったから……。」



始まりは確かに気まぐれだったけど。



でも……今は違う。



みんなの一方通行じゃなくて、私も……。



来都は何も言うことなく私の頭を撫でた。



「……んなこと分かってる。
お前の思い、とっくに俺たちに伝わってる。」



何でこう……優しいんだろうか。



私はこの優しさに包まれ、救われてきた。



「おーい2人とも何してるのー!?」



「そろそろ片付けの時間だね、一旦解散しようか。」



少し先で私たちを呼ぶ声に、自然に頬が緩んだ。



「……いくか。」「……そうだね。」



今なら分かる。この気持ちが。



仲間を大切に思う気持ち。



ずっとこのまま終わらないでほしいと思う気持ち。