誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。




ほら、回りにいる人たちから"三銃士といいこの2人といい、どんな関係だ?"みたいな視線がグサグサと……。



「俺がカッケェからだろ!!」



「なんか普通に歩いてきたらこうなっちゃって。」



「……せめて帽子にマスクでサングラスとかかけてほしい。」



「おい、それじゃ明らか不審者じゃねぇか!!」



別にそれでいいんじゃない?



元々そんなものだよ。



「真琴くん、楽しそうだね。」



微笑みながらそう言う由樹さんに首を傾げた。



「……そう、ですか?」



そんなに顔に出ていただろうか。



今はとりあえずフードは被ってるけど……。



「うん。いつもより生き生きしてる。」



「ま、真琴なりに高校生活を楽しんでるっつーことじゃねぇの?な、真琴?」



私の頭をわしゃわしゃとしながら笑ってる燐理。



生き生き……か。



うん、そうかもしれない。










「……おい。」



その声と同時に、私の頭から燐理の手が離れた。



見上げると、来都が燐理の腕を掴んでいて。



「あ?なんだコイツ。」



「……志浪 来都。」



「仲間……ねぇ。俺は潮田 燐理、真琴の兄貴分だ。
だからいい加減……この手離せよおら。」



……何で2人睨み合ってんの?



「来都は分かりやすいね。嫉妬しちゃって。」



「燐理、大人気ないよ。
相手まだ高校生なんだから。」



そして、なぜこの2人はさも楽しそうに見てるのだろうか。



やっぱり由樹さんと桜悠って似てる。



「僕は海棠 由樹。そうだね……僕も燐理と同じで真琴くんの兄貴分、かな?」



「俺は伊佐波 桜悠。俺も来都と似たようなものです。」



「へぇ……君が……。」



「なにか?」



「ううん、何にもないよ。
ほら燐理。そろそろやめてあげなって。」



来都と燐理の睨み合いは、由樹さんが間に入ってくれたお陰で収まった。



「……チッ。」


「舌打ちすんなクソガキ。」



ここも似たようなものか……。



「じゃあ、真琴くんにも会えたことだし、そろそろ帰るよ。」



「……はい。」



「あのクソガキ、よぉく躾しとけよ。」



「……それは知らない。」



躾とかする年齢じゃないでしょ、あれは。



「あ、来都くん。」



「……。」



由樹さんに手招きされた来都は、由樹さんとしばらく話をしていたけれど、ここからじゃ何を話しているのかまでは分からなかった。



「じゃあ……またね、真琴くん。みんなも。」



「じゃあな。」



そう言って2人は帰っていった。











「正反対な2人だったね。」



それはそうだね。



由樹さんは優しいけど、燐理は荒っぽいから。



「……由樹さんと何話してたの?」



「……何もねぇ。」



それっきり何も話さなくなった来都は、何かを考えているみたいだった。