「真琴、ベリーベリーホットケーキ1ついいかな?」
「…………コーヒー。」
「……せめて接客してる楽を通して注文して。」
直接注文してくる奴があるか。
「だって楽忙しそうだからさ。
それに、俺たちは真琴を迎えに来ただけだし。」
「……迎え?」
「……午後、俺たちといろ。」
「来都、大胆だね。」
「……うるせぇ。」
午後はシフト入ってないから、一緒に回るということだろうか?
「つつつ剣城っち……三銃士のお2人と知り合いなんスか……ッ!?」
「知り合いっていうか、仲間だよね?
素顔も見せてくれるほど仲良くなったしね。」
「剣城っちの素顔……見てみたいっス。」
おい、そこ。余計なこと言うな。
「……そろそろ終わるから。」
「……待っててやる。」
女子の視線がある所で食べさせるのも可哀想だから、キッチンベースに場所を設けた。
「三銃士が俺っちの後ろに……ッ。」
「……有賀、手を動かせ。」
「三銃士が……ッ」
これはダメだ。全然聞こえてない。
じゃあ放っておこう。
とりあえず今ある注文票の分だけは作ってしまおう。
そうして手を動かし続けること数分。
またもや大きな歓声に耳を塞いだ。
「……今度はなに。」
「さぁ、今度ばかりは俺っちも分からないっス。」
なら私には関係ないか。
さぁ、仕事仕事……
「なぁ、ここに真琴いねぇ?」
「え、えっと……。」
「燐理。女の子にはもう少し優しい言い方しないと。
ここに僕たちの知り合いがいるはずなんだけど、知らないかな?」
うん、仕事なんてやってる場合じゃないね。
あの歓声の中心にいるのは十中八九私の知り合いなのだから。
確かに来るとは言ってたけど、まさか本当に来るとは……。
「……有賀、少しお願い。」
「え、剣城っち?どこいくんスか?」
あれを静めにいきます。
とは言っても……この女子の群れに突っ込みたくはない。
そんなことを思っていると、由樹さんと瞳が合った。
「あ、真琴くん。燐理、真琴くんいたよ。」
「あ?ちっさすぎて見えねぇ。」
2人に道を譲るように女子は端に寄った。
そんなことより……
「……誰が小さいだって?」
「あー……、別に小さくはねぇんじゃね?」
今さら言い訳しても遅いわ。
「こんにちは、真琴くん。
結構繁盛してるみたいだね。」
「……まぁ、そこそこ。
ていうか、やっぱり2人とも目立つ。」

