誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。




「3番テーブル、コーヒーとランチセット1つ!!」



「4番テーブル、ベリーベリーホットケーキ1つお願いしまーす。」



「こっちもベリーベリーホットケーキ!!」



あぁ……目の前に注文票がどんどん追加されていく…。



作っても作ってもキリがない。



誰だ、裏方が楽だなんて言ったのは。










「……ランチセットの方は?」



「今作ってるっスよ!!」



素早い手さばきでフライパンを巧みに操る私たちを見たクラスメイトが、"料理部隊"と命名していた。



「それにしても、剣城っちが料理出来るなんて意外っスねー?」



「……剣城っち?」



「あぁ、あだ名っス!料理男子としてよろしくっス!」



なんだこの瞳がキラキラしてる小動物は。










「あぁー!!有賀(アルガ)が真琴と仲良くなろうとしてるー!!僕もそっちがいいー!!」



「そそそそんなことないっス!」



「……楽、お疲れ。」



「僕は疲れたよー……。真琴癒してー。」



「俺っちのこと無視っスか!?」



有賀って言うんだ、この子。



クラスメイトなのに全然知らなかった。



「……もう少しで休憩だから頑張ろ?」



「はーい……。
じゃあ、ホットケーキひと口ちょーだい!」



商品を食べようとするな。



まぁでも、頑張ってるご褒美かな。



「……はい。」



「あーん。……うんまーぃ!!
さすが真琴だね!!」



「……一応、有賀も作ってるけど。」



「そーっスよ!俺っちも褒めてくださいっス!」



「うん、すごいすごい。」



「それ棒読みっスー……。」



「じゃあ、いってきまーす!!」



さぁ、私ももう少し頑張ろう。



そんな矢先の事だった。



女子の悲鳴じみた歓声が聞こえたのは。










「「「キャアァァァァァア!!!!」」」



思わず耳を塞いだ。



「まぁ大体予想はつくっスけどねー……。
多分、来たんスよ。三銃士のお二方が。」



来都と桜悠が?



キッチンベースから覗いてみれば、有賀の予想通り、入口には女子に囲まれている来都と桜悠がいた。



しかもクラスの出し物であろうホストの格好をして。



まさか本当に来るとは……。



「すごいッスよね、あの2人!!
俺っち三銃士に憧れてるんスよ!!」



「……何で?」



「何でって、気高いじゃないっスか!!
喧嘩も強いし、なおかつカッコイイなんて神的っス!!」



まぁ、確かに。



誰にでも尊敬されるなんてやっぱりすごいんだな。