誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。




学校に行くことが怖くなった。



どこに黒鮫がいるのか分からない……。



殺し屋が近くにいることを知りながらも、その存在に気付かず生活することがこんなにも恐怖だったなんて。



「真琴ー?ねぇ、真琴大丈夫?」



楽が顔をのぞき込んできたことに驚いてしまった。



「……あぁ……うん。」



「真琴、最近元気ないよねー?
どうかしたの?」



「……いや……何にもない……。」



誰にも言えない。誰にも言わない。



私が護るの……必ず。



「ねぇ真琴!!
久しぶりにどっか行かない!?2人で!!」



明るく振る舞う楽。



気を利かせてくれたんだろう……。



「……2人で?」



「うん、2人で!!
たまには同級生同士でってねー!
来都くんと桜悠くんには嫉妬してもらえばいいしー!」



嫉妬って……2人はそんなこと思わないでしょ。



「そうと決まればレッツゴー!!
じゃあせんせー、僕たち早退しまーす!!」



「おー、問題だけは起こすなよ。」



神城先生の授業だったが、
神城先生は振り向きもせず手をヒラヒラとさせた。



そこは止めるところでしょうが。



そんなわけで、急な二人旅が始まったのである。














「……やっぱりここか。」



「ストレス発散するならここしかないじゃんねー!」



よく分からない音楽を大音量に流してるこの空間は、いつ来ても慣れない。



ゲームセンターには、学校をサボったのであろう制服姿の学生がチラホラいた。



「ここじゃ僕たちも不良の仲間入りだねぇー!!」



元々不良の類に入るよ、私たち。



BGMに負けないくらいの声量で楽が喋っているが、それでも掠れて聞こえる。



「まずは何からしようかなぁ……やっぱりUFOキャッチャー?」



「……来たばっかでそれやると景品ばっかで大変なことになる。」



「あぁ、それもそうだねぇー。
じゃあ、無難に片っ端からいこっか!!」



これは大変なことになりそうだな……。











それから色んなゲームをした。



カートゲームやコインゲーム、リズムゲームもやったりした。



全体的に楽は強くて、途中から私の負けず嫌いが発動した。



「真琴はシューティングゲームすごい弱いねぇー!!」



「……楽はリズム音痴。」



「そんなことないもん!
次のは絶対勝つもんねー!」



殆ど五分五分の勝敗。



ゲーム如きにすごい燃えてるのが不思議でならないけれど。



あらかたやり尽くしたと少し考えていると、楽が何かを指さした。