誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。




また契約者。また使徒。



もうなんなんだよ……。



頭がゴチャゴチャで訳が分からなくなってくる。



〈じゃが、果たしてお主は……黒猫の契約者に相応しいのか。我が確かめてやろう。〉



そう言うと、セイの身体が光に包まれた。



それに対して私は、動けずにいた。



直面した現実に混乱していた。



〈覚悟。〉



セイが行動を起こそうとしたその瞬間。










ガガガッ!!



私とセイの間に剣が突き刺さった。










〈私の契約者に牙を向けるなんて……殺されたいのかしら黒犬?〉



剣が飛んできた方へ視線を向けると、ビビがいた。



「……ビビ……。」



〈真琴は正真正銘私の契約者よ。
貴方に文句を言われる筋合いはないわ。〉



〈元々文句をつける気などない。
こうすればお前が来ると思ったのだ。〉



〈相変わらず小癪な真似をするわね。〉



初めて見る使徒同士の睨み合い。



そこには神が降臨したかのようだった。



「セイ、そろそろ時間だ。
white castle。次に会うのは戦場で。」



〈さらば。またいずれ。〉



そう言って皇帝とセイは窓から飛び降りていった。



私はその場に突っ立ったままだった。



〈真琴……。〉



「……ねぇ……使徒って……契約者ってなに?
もう……何がどうなってるの……ッ?」



ただの八つ当たりだった。



使徒とは何なのか。



契約者とは何なのか。



なぜこの学校に黒鮫がいるのか。



どうして……気づかなかったのか。



その思いがぐちゃぐちゃになって、止めようがなかった。



〈……まだ、知る時じゃないわ……。
だけど……いずれ直面することになる。
その時全てを話すわ。〉



ビビの瞳を見たら、もう何も言えなくなってしまった。



私は……どうすればいいの?



ねぇ、誰か教えてよ……ッ。



誰でもいいから……私の進むべき道を示してよ……ッ。