誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。




やめて……やめて……やめろ……ッ!!!



聞きたくない……思い出したくない……ッ



頭の中に記憶がフラッシュバックする。



忘れたいもの……


忘れたくないもの……


忘れちゃいけなかったもの……。



とてつもなく耳を塞ぎたい衝動に駆られた。



そうしなかったのは、せめてもの反抗のつもりだった。



でも、この人は私の中で恐怖だった。



私しか知らないことを……知っている人。



「私は星嶺 蘭丸(ホシミネ ランマル)。
忘却の皇帝……君がこの世で最も嫌いな、殺し屋だ。
"皇帝"と言えば分かるだろうか?」



忘却の皇帝……聞いたことがある。



2人組の殺し屋で、化け物じみた力を持っているとか。



"皇帝"と"帝王"。



その名の通り、殺し屋のトップに君臨する組織。



「……俺がwhite castleと知っていて、殺しにでもきたのか?」



「いや?君とはいずれ戦うことになる。
今日は違う用事があって来た。」



「……お前みたいな殺し屋が来ていい場所じゃない。」



ここは……私の大事な人たちがいる場所だ。



「それは、どうかな?」



「……どういう……、」



「私がここで呼ぼうとした者は……









……黒鮫だ。
blackkillersの黒鮫。
これが何を意味するか、分かるだろう?」



頭が真っ白になった。



ここに……黒鮫がいる?



殺し屋が……私たちの近くにいる?



目の前が真っ暗になった気がした。



〈お主、契約者か?〉



ゆっくりと視線を横に動かすと、黒犬と瞳が合った。



「……使徒。」



〈その通り。星嶺が契約者、セイと申す。
お主は黒猫の契約者じゃろう?〉