水無月 司
聖華高校にくる転校生。麗子を好きになっていく。



今日も皆んな元気よく学校へ来る。校門の前には1人の教師が立っている。生徒1人1人チェックしている。
「おはようございます、先生」
「おう、おはよう。授業中寝るんじゃないぞ」
「はあい」
「なんだ、そのしまりのない返事は!しゃきっとしなさい!」
「は、はい!」

生活指導の先生だから、厳しい。注意されるた皆んなしゃきっとする。

麗子は、教室で本を読んでいる。
「麗子おはよう」
「おはよう、詩織。今日も可愛いね」
「えっ、なに言ってんの?急に」
「ほんとのことじゃん」
「そんなお世辞言ったって何も出ないからね」
「別に期待してないけど」
「それよりさ、今日転校生来るんでしょ?」
「そうだね、どんなイケメンが来るんだろうねえ。楽しみ」
「私さ、冷たいっていうか、クールな人好きなんだよね」
「へえー、そういう男子くるといいね」

1年2組の女子は、皆んな転校生の話をしていて騒がしい。授業開始のチャイムが鳴る。担任の北里先生がドアを開ける。
「起立ー、礼、着席」
「おはようございます」
「おはよう。今日から、このクラスに転校生がくる。君入りなさい」

先生がドアを開けると。そこにはイケメンな男子が立っていた。
「うわー」
女子達は密かに、声を出していた。

先生が彼の名前を黒板に書く。
「えー、今日からこのクラスに転校してきた水無月つかさくんだ。仲良くしてやってくれ」
「はーい」
「簡単に自己紹介してくれるか」
「水無月司です。よろしく」
「校内は、まだ分からないだろうから、色々教えてやってくれ。席はえーと、椿の隣が空いてるな。じゃ、そこに座ってくれ」

司が動くと女子はざわざわする。
「なんかさ、カッコイイよね」
「やる気のない感じとか、クールな感じ。いいキャラしてるよね」
「ちょっと一目惚れしちゃだめだよ」

女子達は、本当に舞い上がっている。麗子の隣にきた司。麗子の席は真ん中の列な一番後ろ。
「今日からよろしくね。可愛いこちゃん」
「やだ、ちょっと。よろしくね。私、椿麗子」
「僕は、水無月司。つばきれいこか、響もいいし、綺麗な名前だね」
「あ、ありがとう。名前のことでこんなに褒めてもらったことないから、嬉しい」
「それは良かった」

一応、左隣の詩織にも挨拶する。
「よろしくね。君、名前は?」
「あ、わ、私は......」
「どうしたの?自分の名前も言えないの?」
「違うよ。私は、南条詩織。よろしくね」
詩織は司を見た瞬間、あまりのカッコ良さに見惚れてしまって、自分の名前がでてこなかった。

教壇の上では、北里先生が古文の授業をしている。
「麗子ちゃんに詩織ちゃんか。可愛いこちゃんに挟まれて僕は幸せだな。ごほっ、ごほっ」
「大丈夫?水無月くん」
麗子はとっさに声をかける。
「司でいいよ。僕さ喘息でうるさいかもしれないけど」
「そんなことないよ、司くん」
2人の会話を聞いていた詩織は。やきもちを妬いたのか、司に手紙を書く。

「はい!」
手紙を読む司、内容は。
麗子とばっかり話さないでよ。私ともおしゃべりしようと書かれていた。


司はノートの端を破り、詩織に手紙を書く。
分かったよ。その代わり、僕の睡眠の邪魔しないでねと。
「ほら」

お手本になりそうな綺麗な字で書いてある。
受け取った詩織は司を見てぽーっとしてしまう。

司は、詩織の目を見て。
「おやすみ」
とウインクした。

詩織は開いた口が塞がらない。司の寝顔を見て微笑む。司が寝てから10版くらいしてからチョークが飛んできて司のアタマに当たる。

隣で見ていた麗子は。
「あっ、司くん!」
チョークが当たって。
「うーん」
と色っぽい声をだす司。

麗子は、司を見て。
「司くん、ちょっと色っぽい」
とつぶやく。

次の瞬間また、チョークが飛んできて、司は寝ているはずなのに、キャッチしてしまう。
「えっ、司くん。すごい!」

顔をあげる司。
「ん?このくらい大したことないよ。僕に惚れちゃった?」
麗子は。
「う、うん」

おもわず頷いていた。司はチョークを握り、詩織を見る。
「ねえ、手だして」

詩織が手をだすと。
「これ、君にあげる。僕いらないからあとで先生に返しといて」

詩織は司に利用されたと、頬を膨らます。
「そんな顔してると、可愛い顔が台無しだよ」
「司くんの意地悪」
「それ、よく言われるんだよね。そう言われると嬉しいな。僕にとっては褒め言葉だから」

「変なの」
「君とは気があわないみたい。他の男探したら?」
「ふん!」
「あらら、怒らせちゃったかな」

頬を膨らます詩織に司は。
「ねえ、こっち向いて?」
と頬に人差し指を置いて。詩織は振り向く。
人差し指があたり。
「あー、ひっかかった!」
と子供みたいに喜んでいる。

麗子は笑顔の司に言う。
「あんまり、詩織いじめないでよ。私の親友なんだから」
「ふうーん、そうなんだ」

4時間目の授業は、英語。最初の15分くらいは真面目に授業を受けている司。そのあとはノートの端を破いてなにやら書いている。

「はい、これあげる」
司は、麗子に手紙を渡す。内容を見て、麗子は。司の携帯の電話番号とLINEのIDが書いてあった。

その下には。麗子ちゃんのも教えてよと書いてある。

麗子は 司を見る。微笑む司。
どうしようかなあ、私、彼氏というか幼馴染がいるんだけどと紙に書いて渡す。

彼、何組?僕よりイケメン?
隣の3組。司くんとはタイプが違うイケメンかな。
ふうーん、でもさ隣のクラスより、隣の席にいる僕のが一緒にいる時間長いと思うけど?


そうかもしれないけど、風太は小学生の頃からだから。
そんなの関係ないよ。好きだったら近くにいたもん勝ちじゃん。だから、ね?

えっ、司くん私のこと......
まだ、分かんない。でも、気になるのは確かだけど。
出会って数時間で?
時間なんか関係ない。僕は君に興味がある。
司くん、肉食化だね。電話番号ならいいよ。IDは待って。それでもいい?
携帯の電話番号を書く。


嬉しいな。やっと僕の気持ちが通じたね、ありがと麗子ちゃん。
いいえ、どういたしまして。
礼儀正しい子は嫌いじゃないよ。

と2人とも、手紙を書くのにノートの半分を破いてやりとりをする。

そこへ、英語の沢井先生が司と麗子の頭を軽く叩いて教壇に戻る。

「いて」
「私も」

転校してきた日の数時間で、司は麗子に興味を持ち、麗子は司を気になりはじめていた。


麗子は心の中で。風太、ごめん!と謝っていた。