今日は、クリスマスイブ。街もすっかりクリスマスムードで風太と麗子もウキウキしていた。

朝の6時、麗子の携帯に電話をかける。
10回目のコールでようやく出た。
「もしもしー、ふわー」
あくびをする麗子。

「麗子、まだ寝てんのか!早く起きろよ」
「はあ?まだって6時だよ。もうちょっと寝かせといてよ」

「何言ってんだよ。今日は何の日か分かってんのか?」
「へ、なんかあったっけ?風太の誕生日でもないし、何かの記念日でもないし、うーん」
「お前、本当に分かんないのかよ?」
「イブでしょ?」
「お前、分かってて。っとによ!どれだけ俺がお前と一緒にいたいか分かってんのかよ!バーカ」

「また、始まった。風太の束縛」
「それを言うなよ。それだけ麗子のこと愛してるんだから、感謝しろよ?」
「はいはい、私の王子様」

「ぶっ!」
電話越しに吹いたので大きい音になる。
「うわっ!うるさいよ、風太」

「お前が急に変なこというからだよ」
「王子様は王子様なんだから、しょうがないじゃん。バーカ」
「人の真似すんじゃねえよ。10時に迎えに行くから可愛くしてろよ。そうじゃねえと許さねえからな」

ちゅ。風太は電話越しにキスした。
「うわ、なに?」
「麗子も早く!、して?」
仕方なく電話越しにキスした。

「よし、いい子!愛してるよ麗子。後でな」
一方的に切った。

ほんとに、風太は!でも、それだけ私のこと好きでいてくれるんだから幸せだよね。

10時に風太が迎えにきて、玄関のチャイムを鳴らす。「はーい、風太くんおはよう」
「おはようございます、おばさん」

「いつも、麗子を気にかけてくれてありがとね。風太くんのお嫁さんには麗子がお似合いね」
「そんなこと、おばさん」
「あるわよ、今日も楽しんできてね」
「はい」

麗子の母親にそんな風に言われて照れた。

「麗子ー!風太くん来てるわよー!早くしなさい!」
「はーい」

2階から麗子の声がする。慌てて階段を降りたため、2、3段尻もちをついて降りてきた。
「あいたたたたた!」

「麗子、大丈夫?ほんとにドジなんだから。しょうがないわね」
風太は、靴を脱いで階段のところまで迎えに行く。

「派手な登場の仕方するな。立てるか?」
「うん」
さりげなく、麗子を支えて立たせる。

「風太くん、ありがとう。紳士ね。幼馴染が風太くんで良かったわ」
「おばさん、そんなに言わないで下さい。俺恥ずかしいから」
「そうだよ、お母さん大袈裟なんだって」

母に見送られて、出かける2人。

「可愛いよ、今日のお前」
お洒落してきた麗子を照れながらも褒める風太。

「えっ?」
「洋服がな」
「なにそれ!」
頬を膨らます麗子。

「うそうそ、全部可愛い。俺の麗子だからな」
「よろしい!よくできました」
風太の頭をぽんぽんする。
「子供扱いすんなよ」
拗ねる風太。

「怒んないの」
ちゅ。頬にキスした。
麗子の手を握りしめて、駅に向かう。

「どこ行く?」
「そうだな、TTL行くか?」
「えっ、ほんと?」

「1日遊べるだろ」
「やったあ、風太の 大好き」
また、頬にキスした。

「お前な、はしゃぎすぎ」

電車を乗り継ぎ、TTLに着いた。
中へはいると、大きなクリスマスツリーが2人を迎えてくれた。

「見てー!風太、凄い綺麗だね」
「ああ、麗子、あれ見ろよ!」
「えっ?」
風太が指差す方向を見ると。白雪姫に出てくる7人の小人達が前から歩いてくる。

「きゃー、可愛い。小人達、歩き方すごい可愛い」
麗子は小人達のところに走ってハグする。
「こんにちは、会いたかった」
小人もハグしてくれた。

「風太ー!早くおいでよ」
「いいよ、俺は」
風太は恥ずかしがっている。

すると小人の1人が風太に近づいて頬にキスした。
「あっ!」
そして優しくハグをする。
「サンキュー、小人。仕事頑張れよ」
小人は親指を立てて、まるで分かったと言ってるみたいだった。

「バイバイ」
2人で小人達を見送る。

「可愛いな、小人!」
「でしょ!どんなキャラクターでも癒されるよね」

そんな話をしていると、誰かが風太の肩をたたく。振り向くと、そこには白雪姫が立っていた。

白雪姫の美しさに見惚れてしまった。
白雪姫は風太の頬にキスをした。

麗子に気づいて、ハグしてくれた。
ニコッと風太に微笑むと、小人達を追うように歩いて行く。

風太は白雪姫をずっと見ていた。
その様子を見ていた麗子はだんだんと頬が膨れていく。
「風太!ちょっと、ねえ!」
「え、えっ?」

「そんなに白雪姫がいいなら追いかけなよ」
「は?お前バカじゃねえの?」

「だって、見惚れてたじゃん!白雪姫に」
「一瞬な。ここにいる女性達は特別綺麗だ」
「どうせ、私なんか......」

「お前なにへこんでんの?美人は3日で飽きるって言うだろ?麗子のほうがよっぽど可愛い。お前は3日で慣れたからな」

「は?なにそれ!私がブスって言いたいの?」
「誰もそんなこと言ってない。美人は冷たい印象があるから冷める。でも、ずっと一緒にいる麗子は違う。俺に飽きない魔法がかかってるからな。それは一生解けないから。そうだろ?」
「うん......」

麗子はその言葉が嬉しくて、大粒の涙を流す。
「おい、なんで泣いてんだよ。バーカ」
麗子をそっと抱きしめた。

麗子の唇に優しいキスをする。
「一番恥ずかしいこと言ってるの、風太だよ」
「いいんだよ、僕は麗子を愛してるんだから」
そっと抱きしめた。

2人の後ろでは、TTLの悪役ギャファーが覗き込んでいた。
「風太、後ろ誰かいる」

振り向いたら、ギャファーは風太の肩を組む。
「ギャファーさん、どうも。あなたも好きな人見つけて!恋っていいよ」
風太の頭を下げコツンと叩く。

「いて」
ギャファーに抱きついた麗子。手をとり、キスをした。

風太はすかさず麗子を守る。
「ダメ!麗子にキスしちゃ。麗子は俺の」
ギャファーはまあまあと言っているかのように風太の肩を叩いて行ってしまう。

「なんだかすごいね。今日は」
「ほんとだな。小人に白雪姫にギャファーか」
次のアトラクションに行った。




TTL→ディズニーランド
ギャファー→ジャファー