鬼が往く

ともあれ、将臣の仲裁により、約2週間に亘って続いた抗争は終結した。

抗争を引き起こした椎名 千春が絶縁になり、組長である明石 将臣に詫びを入れさせたという事は、実質この抗争は銀二の勝ち喧嘩という事になる。

銀二はたった1人で、明石組1万人に勝利したのだ。

「よっしゃ…ほいたら関西帰るで」

将臣が踵を返す。

と。

「待ってもらえまへんか、親父。俺に沢渡…いや鬼首とのタイマン張らせたって下さい」

そう言ったのは根津だった。

「あぁ?もう喧嘩は終いや言うたやろが」

ギロリと睨む将臣。

しかし。

「俺からもお願いできないスか」

銀二が言った。

「これは抗争とは別の話ス。きちんと根津とはケジメつけときたいんス」

「…好きにせぇや」

将臣は背を向けた。