鬼が往く

将臣の言葉で、組員の間に動揺が走る。

組員達は、この抗争は全て組長である将臣の指示であると信じて疑わなかったのだ。

それでは一体、誰がこの抗争の絵を描いたのか。

「椎名!前出て来いやっ!」

将臣が叫ぶ。

…体を委縮させて、物陰に隠れていた椎名が将臣の目の前まで出てきた。

「おぅ椎名。オドレがこの喧嘩、絵ぇ描いたんやな?」

「ち、違うんスよ親父。あ、後でちゃんと説明しようと思って…」

冷や汗をかきながら言い訳する椎名。

しかし将臣は。

「!!!!」

問答無用、手にした長ドスで、瞬時にして椎名の右腕を切り落とす!

「ぎぃやああああああああ!」

その激痛に、椎名は床をのたうち回った。