ところが翌朝。

銀二は診療所のベッドから姿を消していた。

まだ傷は全く癒えていない。

そもそもあの傷だらけの体で、いきなり翌朝診療所を抜け出す体力がある事の方が信じられない。

恐るべき回復力だ。

そんな体で、銀二は一体どこへ向かったのか。

…紗智にはすぐに見当がついた。

関西明石組池袋支部。

昨日半死半生の目に遭わされた明石組の事務所に、銀二は再びたった1人で殴り込みをかけたのだ。

折角拾った命だというのに、彼は性懲りもなく。

余りの無謀さに、いい加減呆れてしまう。

紗智はすぐに池袋に向かった。

このままみすみす、銀二を死なせる訳にはいかない。