鬼が往く

更に責め苦は続く。

彼が苦しむ姿を、組員達は薄笑みを浮かべて見ている。

「せや…オドレをこうやって嬲り殺すのを、もう1人楽しみにしとった人がおるんや…」

そう言って、組員の1人がある男を呼び寄せる。

「おぅおぅ…ええカッコやのぅ、沢渡」

地下室の階段を下りてくる男。

それは、椎名 千春だった。

関西明石組若頭にして、今回の抗争の全ての発端となった男。

「…よぉ…腰抜け若頭が何しに来た…」

息を荒くしながらも毒づく銀二。

その銀二の腹に、椎名は蹴りを叩き込む!

「相変わらず口は達者やのう…」

椎名は木刀を手に取り、ゆっくりと銀二の背後に回った。

そして、渾身の力を込めて殴打!

ガクン、と、銀二の膝が崩れる。

「オラ泣き叫べ。クソ小便漏らしてしまえ。俺はオドレのせいで屈辱を味わわされたんや。もっと苦しめて、それから殺したるわ…!」

そう言って椎名はニヤリと笑った。