鬼が往く

肉を殴りつける音が響く。

組員に取り押さえられた銀二は、事務所の地下へと連れて行かれた。

上半身裸にされ、両手を縛られて天井から吊るされる。

銀二を待っていたのは、地獄の責め苦だった。

今まで仲間をやられた恨みと鬱憤を晴らすかのように、背後から、正面から木刀で殴打される。

如何に打たれ強い銀二とて、全身は内出血が至る所に起こり、血が滲み出す。

「へばっとるんやないぞゴラァッ!」

バケツの水を浴びせられ、銀二は咽た。

「この程度で参ってもろたら困るねや。俺らの恨みは、まだ全然晴らせてへんのやからな」

組員の1人が、火の点いた煙草を銀二の胸に押し付ける。

苦痛に顔を歪めるも、耐える銀二。

幾ら殴打されても、彼は声を上げなかった。

組員達はそれが気に入らない。

「すぐに命乞いさせたるさかいな…!」