鬼が往く

圧倒的な強さで、10人以上もの組員を捻じ伏せた銀二。

考えてみれば、彼は明石組三強と呼ばれる幹部のうち2人までを倒しているのだ。

たかが下っ端の組員など、何十人集めても勝てる筈がない。

しかし。

「動くなや沢渡ぃっ!」

事務所内に怒声が響く。

気が付くと、銀二の周囲を20人近い組員が、拳銃を構えて取り囲んでいた。

余りにも大人げないやり方。

だが、一端のヤクザが数十人集まって、拳銃まで使わなければ、銀二を止める事は出来なかったのだ。

「悪いのぅ沢渡。俺らも形振り構ってられへんのや」

「チッ…」

流石にこれだけの数の拳銃相手では勝ち目がない。

銀二は構えを解いた。