ベッドの中では、巾着袋を手に握るわけにも行かない。
ホテルへ入ってすぐにこの巾着袋の中に込められたコトバを云った方が良いのか、それとも後に云った方が良いのか・・・決められなかった。
結局、いつものように、ホテルへ入ってからはアキヒコのペースで全てが進んだ。
抱かれた後、ベッドの中でアイカは囁くように云った。
「ありがとう、アキヒコさん。次に会うのは、来週の日曜日の予定だったのに、私のわがままをきいてくれて嬉しい・・・」
「うん、ちょうど今週末、うちの奴、子供をつれて実家へ帰るって云いだしたから、タイミングが上手く合ったんだよ・・・」
そう良いながら、アキヒコは軽くあくびをして目を閉じた。
アイカは、そっとベッドを抜け出してバッグの中から巾着袋を取り出して、左手に掴んでベッドへ戻った。

